【イベント】ジョイス・ラム『家族の間取り』『新異家族』&大橋香奈『移動する「家族」』上映会

2023年6月〜8月にかけて、藤沢市アートスペースにて、大学院時代からの友人であるジョイスが参加している企画展「あなたが眠りにつくところ」が開催されました。
展覧会では、ジョイスが暮らしていたシェアハウスを舞台に「家族」のあり方を探索していった二つの映像作品、また「家族」についての思考実験を書籍化した『生まれてきたあなたは縦単線の先にいる』とそこから生まれた作品が展示されました。
ジョイスが日本で暮らし始めて10年。その中で取り組んできたさまざまな活動とその成果が、一つの空間に凝縮。彼女の活動のプロセスを折に触れ共有してもらっていたので、そのさまざまなモノとコトがつながり展示が完成した様子に、感じ入ってしまいました。
そして、大変嬉しいことに、本企画展の関連イベントとして、ジョイスの作品とともに、ジョイスが登場する私の映像作品『移動する「家族」』(2018年)を同時に見られる上映会が2023年8月12日(土)に開催されました。
大学院時代にジョイスと出会ったことが、私の研究者としての作品、進む方向の選択に大きな影響を与えました。
また引越しを重ねてきた私が、結局一番長く住んでいる藤沢のアートスペースで、ジョイスとこうして一緒に作品を上映できる機会をいただけて、ありがたい限りでした。今回の企画を生み出してくださった学芸員喜田さんに感謝です。

【イベント】「風月の芸術祭」(福島ビエンナーレ2022)に出展

水野大二郎先生との共同監督作品『Transition』の制作過程を振り返る参加型のパネル展示と、上映ワークショップを開催します。
会場は白河市のコミュニティ・カフェ EMANON、会期は10/9までです。

白河は夫の裕太郎の出身地というご縁があり、コロナ前までは毎年訪れていました。
今回の企画は、博士研究の作品『移動する「家族」』の上映会でもお世話になった、コミュニティ・カフェ EMANONを運営する一般社団法人未来の準備室理事長の青砥和希さんにお声がけいただき実現しました。

昨夕、設営でEMANONに伺いましたが、高校生たちが勉強していたり、グループで英語でディスカッションしていたりして活気があり、良いエネルギーをもらいました。スタッフの鈴木冴佳さんが手際よく作業してくれてアイディアも出してくれて、無事、設営完了しました。
ぜひこの機会に白河を訪れてみてください!

【映像】“Transition” が国際映画祭に入選

Our film “Transition” (2019) has been selected for Riga Pasaules Film Festival 2022 in Latvia.
水野大二郎先生との共同監督作品“Transition” (2019)が、ラトビアの映画祭Riga Pasaules Film Festival 2022に入選しました。2019年の国際ドキュメンタリーフィルムフェスティバル・アムステルダム(IDFA)、2020年のドイツの日本映画祭「ニッポン・コネクション」に続いて3回目の入選です。
この映画祭は規模は大きくないですが、映画とエスノグラフィーの交点を探究することを目的とした映画祭なので、本作の位置づけと合致しており、入選は嬉しいです。

【映像】“Transition” has been selected for The Japanese Film Festival Nippon Connection!

“Transition”, a documentary film co-directed by me and Mizuno Daijiro, has been selected for The Japanese Film Festival Nippon Connection (the biggest platform for Japanese cinema worldwide). The section is NIPPON DOCS. This year, due to the Covid-19 situation, the festival will be organized online. They will publish the program in the end of May. You can watch the film at home!
https://www.nipponconnection.com/nc-2020-english.html

水野大二郎先生との共同監督作品“Transition”が、昨年の国際ドキュメンタリー・フェスティバル・アムステルダム(IDFA)に続いて、毎年ドイツのフランクフルトで開催されている世界最大級の日本映画祭「ニッポン・コネクション」の「NIPPON DOCS部門」に入選しました!新型コロナウイルスの影響で、映画祭は今年オンラインでの開催(6/9-14)なので、ご自宅でご覧いただけます!プログラムの公式発表は5月末なので、詳細がわかったらまたお知らせします。Vimeoオンデマンドで上映され、映画祭は無事終了しました。→https://nipponconnection.com/ja/event/177/nippon-docs-shorts

【上映会】人間・環境学会(MERA)第118回研究会にて『移動する「家族」』上映会を実施

現在、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大によって各方面に影響が出ていますが、まだ事態がこれほどではなかった2月15日に、人間・環境学会(MERA)第118回研究会にお招きいただき、『移動する「家族」』上映会を実施しました。この企画は、法政大学教授の岩佐明彦先生からのご提案で実現しました。

岩佐先生には、私の博士課程の研究の過程で何度もアドバイスをいただきました。私が所属していた加藤文俊研究室では、毎年年度末に研究室で取り組んださまざまなプロジェクトの成果や、学部4年生および大学院生の個人研究の成果を展示する「フィールドワーク展」という展覧会を開催していますが、岩佐先生には毎年ご来場いただき研究の進捗を見ていただいていました。

岩佐先生の研究テーマの一つは、「居住者の住みこなしに着目した災害応急仮設住宅の居住環境支援」です。先生が研究室のメンバーとともに取り組まれたプロジェクトであり、書籍化された『仮設のトリセツ』は、人びとの移動の経験を理解することをテーマにしてきた私に、「環境移行」「住みこなし」といった新たな視点を与えてくれました。今年度アーツカウンシル東京の「思考と技術と対話の学校」で、私がナビゲーターを務めた「‘Home’ in Tokyo」という講座に、岩佐先生をゲストとしてお招きし、「仮設(応急仮設住宅)は‘Home’となりうるか」「被災地における‘Home’とは?」というテーマでお話いただいたりもしました(これは後日レポートを公開予定)。そんなご縁があり、今回、人間・環境学会(MERA)の研究会で『移動する「家族」』の上映会を実施する機会をいただきました。

会場は、都営大江戸線牛込柳町駅から歩いてすぐの「みちくさくらす」という、もとクリーニング屋さんだった建物をリノベーションしてつくられた、地域の人びとの交流拠点。こじんまりとした心地よい図書室のような2階のスペースで、壁をスクリーン代わりにして上映しました。各地の大学等で研究されている13名の先生方が参加され、上映後の対話では、「研究者」としての専門的な知識だけでなく、それぞれのパーソナルな移動や家族の経験、家族観についてのお話をうかがうことができ、貴重な時間になりました。後日、報告記事がMERAのウェブサイトに掲載されると思うので、公開されたら追記します。

【映像】国際ドキュメンタリー・フェスティバル・アムステルダム(IDFA)2019参加

水野大二郎先生との共同監督作品“Transition”が、国際ドキュメンタリー・フェスティバル・アムステルダム(IDFA)のコンペティション部門(ショートドキュメンタリー)に入選したため、IDFAからの招待で11月23日から28日までアムステルダムに滞在し、本作のワールドプレミア上映に立ち会いました。水野先生も行けたら良かったですが、水野先生はこのタイミングでの海外行きは難しく、代わりに私が一人で行かせてもらうことになりました。

アムステルダム訪問は、11年ぶり2度目。前回は夫が国際会議で発表するのに同行し、自分はのんびり観光していただけだったのに対して、今回は、共同監督作品の上映のためだったので、楽しみ以上に緊張感が大きかったです。

IDFAが手配してくれたVolkshotelは、かつて新聞社の本部だった建物をリノベーションしてつくられたこじゃれたホテル。1階はカフェ兼コワーキングスペースで、滞在中通りがかると、常に若い人たちがおしゃべりや仕事に打ち込んでいる姿が見られました。部屋はこじんまりとしたつくりながら、数日間の滞在にはじゅうぶんな快適な空間。場所は中央駅から地下鉄で数分、地下鉄の駅からもすぐなので、どこへ行くにも大変便利でした。滞在中はGVB Multi day ticket(バス、地下鉄、トラムが乗り放題になるチケット)を使って、気軽に動き回ることができました。

アムステルダムに到着してすぐに、街のあちこちでIDFAのポスターや旗を見かけました。IDFAが、毎年10万人もの観客が訪れる世界最大級のドキュメンタリー映画祭の一つであり、アムステルダムという都市にとっても重要なイベントなのだということを実感しました。私の滞在中、“Transition”の上映は2回。両日とも上映の後にモデレーターの進行のもと、観客からの質問に答えるQ&Aセッションを行いました。他の作品では、監督、プロデューサー、宣伝担当など、チームから複数のメンバーがIDFAに参加し上映に立ち会っていましたが、私たちはそもそも水野先生と私だけで始めたプロジェクトで、今回参加できたのは私一人。初めての映画祭で勝手がわからなかったこともあり、緊張してパニックになったらどうしようと事前にIDFAのスタッフに相談したら、通訳の国森潮音さんが来てくださることに。潮音さんのおかげで安心して、2回のQ&Aセッションを実施できました。

行くまでは完全に「アウェー」でどうしようかと思っていましたが、初回には水野先生のロンドンでの大学院時代の仲間たちと日本の映画配給の会社サニーフィルムの有田さんが来てくれ、2回目にはたまたま同時期にヨーロッパ旅行をしていた私の大学院の仲間なっちゃんが駆けつけてくれ、心強かったです。他の作品とのセット上映で、観客もまあまあの入りでした。

Q&Aセッションは、モデレーターや観客からの質問に答えることで、あらためて自分たちの作品をとらえなおす機会になりました。他作品のQ&Aセッションもいくつか見ましたが、作品づくりはどのようにしてはじまったのか、監督はどのように作品を位置づけているのか、監督と作品の中に登場する人びととはどのような関係性で、彼や彼女は今どうしているのかといったことがよく話題になっていました。自分たちの作品だけでなく他の作品のQ&Aセッションを見て、勉強になることがたくさんありました。

11月27日の夜には盛大な授賞式が行われました。私たちの“Transition”は、入選までで受賞はなかったですが、授賞式に参加できて、各賞の審査員からの講評と受賞者のスピーチを聞けただけで幸運だったと感じるような場でした。私たちの作品が入選したショートドキュメンタリー部門の審査員の講評の中の、以下のことばを、帰国してからも反芻しています。

Why so shy? You have cameras! The jury suggests that these filmmakers trust more in cinema and the image as a medium for exploring and understanding the world, and exploit its capacities with more fearlessness and abandon. These lives are worth that risk. (Jury report: IDFA Competition for Short Documentary 2019

アムステルダム滞在は5泊と短く、ほぼIDFA一色でしたが、行きたいと思っていたいくつかの美術館・博物館に行くことができ満足。特に良かったのは、人類学博物館Tropenmuseum の〈WHAT A GENDERFUL WORLD〉と〈THINGS THAT MATTER〉という展覧会。今後の自分の研究のアプローチや発表の仕方を考えるうえで、参考になることがたくさんありました。

たったの5泊でしたが、ちょっとした留学をしたぐらいの刺激と出会いに満ちた時間でした。アムステルダムに、そしてIDFAにまた来たい。この貴重な機会を与えてくれたIDFA、水野先生、送り出してくれた家族に感謝。

【上映会】11月30日(土)京都女子大学の公開講座にて

京都女子大学の教授で家族社会学が専門の嘉本伊都子先生の企画で、私の研究作品である『移動する「家族」』の上映を含めた公開講座が開催されます。

日時 11月30日(土)13:30~17:00
場所 京都女子大学 図書館交流の床 1階ホール
詳細はこちら

嘉本先生とは、2018年7月21日に明治学院大学白金キャンパスで開催された、明治学院大学心理学部付属研究所特別研究プロジェクト「心理臨床センターにおけるグローバル化および内なる国際化に関する探索的研究」主催の『移動する「家族」』上映会がきっかけで出会いました。嘉本先生は上映会でコメンテーターとして研究についてコメントやアドバイスをしてくださいましたが、それ以来、色々とお世話になっています。
これまで全国46箇所で上映会を開催しましたが、京都は初めてなので楽しみです。

【映像】“Transition” has been selected for the IDFA Competition for Short Documentary

“Transition”, a documentary film co-directed by me and Daijiro Mizuno, has been selected for the IDFA Competition for Short Documentary of the 32nd edition of International Documentary Film Festival Amsterdam!
IDFA: https://www.idfa.nl/en/film/f8b0c22a-2ed7-4ab4-83f9-9857c83e9f3e/transition

水野大二郎先生との共同監督作品“Transition”が、国際ドキュメンタリー・フェスティバル・アムステルダム(IDFA)のコンペティション部門(ショートドキュメンタリー)に入選しました。11月にアムステルダムにて、同部門で選ばれた他の11作品とともにワールドプレミア上映されさらに審査されます。
IDFA: https://www.idfa.nl/en/film/f8b0c22a-2ed7-4ab4-83f9-9857c83e9f3e/transition

このプロジェクトは、昨年、私の博士研究が最終段階を迎えた頃に、副査として指導してくださっていた水野先生から提案いただいたことで始まりました。私は「移動」と「家族」をテーマに研究をしてきましたが、水野先生から、自分が今経験していることはまさに「移動」と「家族」をめぐるエクストリームなケースだから、新たな研究対象にしてみてはどうかというお話がありました。その時、水野先生が、妻みえさんの闘病を支えながら、当時1歳になったばかりのてらすくんの育児と、大学での仕事をなんとかして成り立たせるために奔走している状況を知りました。

自分自身が移動する、家族を移動させる、ものやメッセージなどを移動させる。困難な状況でもよりよく生きるために、みえさんの闘病が始まってからの2年間、多様な「移動(モビリティーズ)」を組み合わせる試行錯誤をしながら生き抜いてきたプロセスを、水野先生は自分のiPhoneでほぼ毎日記録し続けました。私は後半の1年間、毎週のペースで水野先生にインタビューを行い、そこでその週の日記とiPhoneで撮影された写真や動画を見せてもらい、水野先生の「生活世界」を理解することを試みました。“Transition”は、2年間の記録を、この1年間のインタビューによる理解にもとづいて編集して制作した作品です。私にとってこのドキュメンタリーは4作目ですが、自分が撮影した写真や動画をほとんど使わないで制作するのは初めてのことですし、「語り」がない作品も初めてです。調査者として自らを調査し続けた水野先生による記録が、この作品を成り立たせています。
制作の最終段階では、 加藤文俊先生にアドバイザーとして参加していただきました。加藤先生のもとで研究するようになってからずっと‘social bonding(社会的なつながり)’について考えてきましたが、その基盤は‘being part of each other’s life transitions’なのではないかと、このプロジェクトを通してあらためて実感しています。水野先生、加藤先生と、このあと、2年間の記録と向き合いながら、論文も書く予定です。

この作品が、何よりも、みえさんの最愛の存在であるてらすくんにとって5年後、10年後に意味のあるものになっていることを心から願います。

11月のアムステルダムでのワールドプレミア上映以降、日本でもいろいろなかたちで上映の機会を探ると思うのでどこかでご覧いただければ幸いです。

プロジェクトの詳細は:https://medium.com/documentary-film-transition