【イベント】「風月の芸術祭」(福島ビエンナーレ2022)に出展

水野大二郎先生との共同監督作品『Transition』の制作過程を振り返る参加型のパネル展示と、上映ワークショップを開催します。
会場は白河市のコミュニティ・カフェ EMANON、会期は10/9までです。

白河は夫の裕太郎の出身地というご縁があり、コロナ前までは毎年訪れていました。
今回の企画は、博士研究の作品『移動する「家族」』の上映会でもお世話になった、コミュニティ・カフェ EMANONを運営する一般社団法人未来の準備室理事長の青砥和希さんにお声がけいただき実現しました。

昨夕、設営でEMANONに伺いましたが、高校生たちが勉強していたり、グループで英語でディスカッションしていたりして活気があり、良いエネルギーをもらいました。スタッフの鈴木冴佳さんが手際よく作業してくれてアイディアも出してくれて、無事、設営完了しました。
ぜひこの機会に白河を訪れてみてください!

【映像】“Transition” が国際映画祭に入選

Our film “Transition” (2019) has been selected for Riga Pasaules Film Festival 2022 in Latvia.
水野大二郎先生との共同監督作品“Transition” (2019)が、ラトビアの映画祭Riga Pasaules Film Festival 2022に入選しました。2019年の国際ドキュメンタリーフィルムフェスティバル・アムステルダム(IDFA)、2020年のドイツの日本映画祭「ニッポン・コネクション」に続いて3回目の入選です。
この映画祭は規模は大きくないですが、映画とエスノグラフィーの交点を探究することを目的とした映画祭なので、本作の位置づけと合致しており、入選は嬉しいです。

【論文】国際論文誌に査読付き論文が掲載

Our article “Visualising Rapid Life Transitions: Ethnographic Documentary Filmmaking Through Smartphone-Based Collaborative Research” has been published in the International Journal Visual Ethnography!
It’s open access.
水野大二郎先生と2018年から取り組んできたプロジェクトについてまとめた査読付き論文“Visualising Rapid Life Transitions: Ethnographic Documentary Filmmaking Through Smartphone-Based Collaborative Research”が、国際論文誌Visual Ethnographyに掲載されました。
Visual Ethnographyは、私が博士課程の学生だった頃から読み続けてきた、思い入れのある論文誌の一つです。今回掲載された論文では、水野先生とご家族が経験された急速な人生移行、悲嘆と受容、回復に向かうプロセスを、スマートフォンを用いて協働的に理解しドキュメンタリー作品『Transition』として映像化したプロジェクトを研究対象としました。
このプロジェクトでは、水野先生はほぼ毎日スマートフォンのカメラで自分の生活を撮影し日誌を書き、私はその内容について毎週のようにインタビューする(合計28回)という、ややエクストリームな調査を実施しました。論文では、私たちが複数の方法論を組み合わせて研究を展開した過程を振り返り、説明し、水野先生のスマートフォンで撮影された写真・映像の特徴を分析しました。また、スマートフォンが多くの人の日常生活の一部となっている現在、人生移行の経験をどのように理解し、可視化できるかを考察しました。
博士論文を書き終えたと同時に着手し、必死に取り組んだプロジェクトでした。プロジェクトを応援してくださった方々に感謝します。
オープンアクセスなので、リンク先から論文のPDFをダウンロードいただけます。

【書籍】『受容と回復のアートー魂の描く旅の風景 (アートミーツケア叢書3)』に論考掲載

共著の論考
・水野大二郎・大橋香奈・加藤文俊「TRANSITION ままならない状況下の生活を記録するための試論」
が、明日発売される『受容と回復のアートー魂の描く旅の風景 (アートミーツケア叢書3)』に掲載されました。

【記事】RAI Film Festival Conference 2021 での発表

Our discussion in the RAI Film Festival Conference 2021 was introduced on the Digital Ethnography Initiative blog at the University of Vienna.
 
3月25日に、英国王立人類学協会(RAI)主催の国際会議RAI Film Festival Conference 2021にて研究発表を行い、パネルディスカッション‘Critical play: Smartphones as a mode of creative engagement with crisis’に参加しました。
パネルの企画者であり発表者でもあった映像人類学が専門のSanderien Verstappenが、所属するウィーン大学のDigital Ethnography Initiativeのブログで、当日のディスカッションの概要を記事にして紹介してくれました。
 
研究発表の内容は1ヶ月ちょっと前にビデオで提出。発表者全員のビデオが束ねられ、事前に会議のウェブサイトに掲載され、それを参加者が見たという前提で、当日はZoomでディスカッションする反転授業的な流れ。
 
互いの発表内容を理解した上で参加しているので、当日のディスカッションはスピード感のある濃いものになりました。その分、英語でついていくのは大変。もどかしい思いもたくさんしましたが、その悔しさは次に向けて頑張ろうというエネルギーになる感じで、後味は悪くない。もっとスムースに応答したかったと、自分に対して悔しいのに、一方で気分が良いのは、言語の壁を超えて広がる、研究の世界の奥深さをリアルに感じられたことが嬉しかったからという気がします。私以外の発表者は、オランダ、イギリス、オーストリアから参加、視聴者で質疑応答に参加した人はアルゼンチンやフランスからなど、オンライン国際会議ならではの集まりでした。
 
発表者の一人が偶然にも、数年前に書いた英語論文を読んでくれていたことが後から判明したり、最近まで日本でフィールドワークしていたという話も聞けて、スクリーン越しにしか会っていない相手なのに親しみを感じました。
国や言語や文化が違っても、近い研究テーマや方法論に関心を持ち、研鑽している仲間がいることを実感できて心強く、ワクワクした一日でした。

【国際会議】RAI Film Festival Conference 2021 で発表することが決定

来年3月に開催される、英国王立人類学協会(RAI)主催の国際民族誌映画祭「RAI Film Festival 2021」と同時開催の国際会議RAI Film Festival Conference 2021に応募した原稿が採択され、研究発表することが決まりました。内容は水野大二郎先生との共同監督作品『Transition』についてです。
今年はONLINEでの開催となるため、あらかじめVideo presentationを提出し、当日はビデオ会議でディスカッションすることになるようです。

【映像】“Transition” has been selected for The Japanese Film Festival Nippon Connection!

“Transition”, a documentary film co-directed by me and Mizuno Daijiro, has been selected for The Japanese Film Festival Nippon Connection (the biggest platform for Japanese cinema worldwide). The section is NIPPON DOCS. This year, due to the Covid-19 situation, the festival will be organized online. They will publish the program in the end of May. You can watch the film at home!
https://www.nipponconnection.com/nc-2020-english.html

水野大二郎先生との共同監督作品“Transition”が、昨年の国際ドキュメンタリー・フェスティバル・アムステルダム(IDFA)に続いて、毎年ドイツのフランクフルトで開催されている世界最大級の日本映画祭「ニッポン・コネクション」の「NIPPON DOCS部門」に入選しました!新型コロナウイルスの影響で、映画祭は今年オンラインでの開催(6/9-14)なので、ご自宅でご覧いただけます!プログラムの公式発表は5月末なので、詳細がわかったらまたお知らせします。Vimeoオンデマンドで上映され、映画祭は無事終了しました。→https://nipponconnection.com/ja/event/177/nippon-docs-shorts

【映像】国際ドキュメンタリー・フェスティバル・アムステルダム(IDFA)2019参加

水野大二郎先生との共同監督作品“Transition”が、国際ドキュメンタリー・フェスティバル・アムステルダム(IDFA)のコンペティション部門(ショートドキュメンタリー)に入選したため、IDFAからの招待で11月23日から28日までアムステルダムに滞在し、本作のワールドプレミア上映に立ち会いました。水野先生も行けたら良かったですが、水野先生はこのタイミングでの海外行きは難しく、代わりに私が一人で行かせてもらうことになりました。

アムステルダム訪問は、11年ぶり2度目。前回は夫が国際会議で発表するのに同行し、自分はのんびり観光していただけだったのに対して、今回は、共同監督作品の上映のためだったので、楽しみ以上に緊張感が大きかったです。

IDFAが手配してくれたVolkshotelは、かつて新聞社の本部だった建物をリノベーションしてつくられたこじゃれたホテル。1階はカフェ兼コワーキングスペースで、滞在中通りがかると、常に若い人たちがおしゃべりや仕事に打ち込んでいる姿が見られました。部屋はこじんまりとしたつくりながら、数日間の滞在にはじゅうぶんな快適な空間。場所は中央駅から地下鉄で数分、地下鉄の駅からもすぐなので、どこへ行くにも大変便利でした。滞在中はGVB Multi day ticket(バス、地下鉄、トラムが乗り放題になるチケット)を使って、気軽に動き回ることができました。

アムステルダムに到着してすぐに、街のあちこちでIDFAのポスターや旗を見かけました。IDFAが、毎年10万人もの観客が訪れる世界最大級のドキュメンタリー映画祭の一つであり、アムステルダムという都市にとっても重要なイベントなのだということを実感しました。私の滞在中、“Transition”の上映は2回。両日とも上映の後にモデレーターの進行のもと、観客からの質問に答えるQ&Aセッションを行いました。他の作品では、監督、プロデューサー、宣伝担当など、チームから複数のメンバーがIDFAに参加し上映に立ち会っていましたが、私たちはそもそも水野先生と私だけで始めたプロジェクトで、今回参加できたのは私一人。初めての映画祭で勝手がわからなかったこともあり、緊張してパニックになったらどうしようと事前にIDFAのスタッフに相談したら、通訳の国森潮音さんが来てくださることに。潮音さんのおかげで安心して、2回のQ&Aセッションを実施できました。

行くまでは完全に「アウェー」でどうしようかと思っていましたが、初回には水野先生のロンドンでの大学院時代の仲間たちと日本の映画配給の会社サニーフィルムの有田さんが来てくれ、2回目にはたまたま同時期にヨーロッパ旅行をしていた私の大学院の仲間なっちゃんが駆けつけてくれ、心強かったです。他の作品とのセット上映で、観客もまあまあの入りでした。

Q&Aセッションは、モデレーターや観客からの質問に答えることで、あらためて自分たちの作品をとらえなおす機会になりました。他作品のQ&Aセッションもいくつか見ましたが、作品づくりはどのようにしてはじまったのか、監督はどのように作品を位置づけているのか、監督と作品の中に登場する人びととはどのような関係性で、彼や彼女は今どうしているのかといったことがよく話題になっていました。自分たちの作品だけでなく他の作品のQ&Aセッションを見て、勉強になることがたくさんありました。

11月27日の夜には盛大な授賞式が行われました。私たちの“Transition”は、入選までで受賞はなかったですが、授賞式に参加できて、各賞の審査員からの講評と受賞者のスピーチを聞けただけで幸運だったと感じるような場でした。私たちの作品が入選したショートドキュメンタリー部門の審査員の講評の中の、以下のことばを、帰国してからも反芻しています。

Why so shy? You have cameras! The jury suggests that these filmmakers trust more in cinema and the image as a medium for exploring and understanding the world, and exploit its capacities with more fearlessness and abandon. These lives are worth that risk. (Jury report: IDFA Competition for Short Documentary 2019

アムステルダム滞在は5泊と短く、ほぼIDFA一色でしたが、行きたいと思っていたいくつかの美術館・博物館に行くことができ満足。特に良かったのは、人類学博物館Tropenmuseum の〈WHAT A GENDERFUL WORLD〉と〈THINGS THAT MATTER〉という展覧会。今後の自分の研究のアプローチや発表の仕方を考えるうえで、参考になることがたくさんありました。

たったの5泊でしたが、ちょっとした留学をしたぐらいの刺激と出会いに満ちた時間でした。アムステルダムに、そしてIDFAにまた来たい。この貴重な機会を与えてくれたIDFA、水野先生、送り出してくれた家族に感謝。

【映像】“Transition” has been selected for the IDFA Competition for Short Documentary

“Transition”, a documentary film co-directed by me and Daijiro Mizuno, has been selected for the IDFA Competition for Short Documentary of the 32nd edition of International Documentary Film Festival Amsterdam!
IDFA: https://www.idfa.nl/en/film/f8b0c22a-2ed7-4ab4-83f9-9857c83e9f3e/transition

水野大二郎先生との共同監督作品“Transition”が、国際ドキュメンタリー・フェスティバル・アムステルダム(IDFA)のコンペティション部門(ショートドキュメンタリー)に入選しました。11月にアムステルダムにて、同部門で選ばれた他の11作品とともにワールドプレミア上映されさらに審査されます。
IDFA: https://www.idfa.nl/en/film/f8b0c22a-2ed7-4ab4-83f9-9857c83e9f3e/transition

このプロジェクトは、昨年、私の博士研究が最終段階を迎えた頃に、副査として指導してくださっていた水野先生から提案いただいたことで始まりました。私は「移動」と「家族」をテーマに研究をしてきましたが、水野先生から、自分が今経験していることはまさに「移動」と「家族」をめぐるエクストリームなケースだから、新たな研究対象にしてみてはどうかというお話がありました。その時、水野先生が、妻みえさんの闘病を支えながら、当時1歳になったばかりのてらすくんの育児と、大学での仕事をなんとかして成り立たせるために奔走している状況を知りました。

自分自身が移動する、家族を移動させる、ものやメッセージなどを移動させる。困難な状況でもよりよく生きるために、みえさんの闘病が始まってからの2年間、多様な「移動(モビリティーズ)」を組み合わせる試行錯誤をしながら生き抜いてきたプロセスを、水野先生は自分のiPhoneでほぼ毎日記録し続けました。私は後半の1年間、毎週のペースで水野先生にインタビューを行い、そこでその週の日記とiPhoneで撮影された写真や動画を見せてもらい、水野先生の「生活世界」を理解することを試みました。“Transition”は、2年間の記録を、この1年間のインタビューによる理解にもとづいて編集して制作した作品です。私にとってこのドキュメンタリーは4作目ですが、自分が撮影した写真や動画をほとんど使わないで制作するのは初めてのことですし、「語り」がない作品も初めてです。調査者として自らを調査し続けた水野先生による記録が、この作品を成り立たせています。
制作の最終段階では、 加藤文俊先生にアドバイザーとして参加していただきました。加藤先生のもとで研究するようになってからずっと‘social bonding(社会的なつながり)’について考えてきましたが、その基盤は‘being part of each other’s life transitions’なのではないかと、このプロジェクトを通してあらためて実感しています。水野先生、加藤先生と、このあと、2年間の記録と向き合いながら、論文も書く予定です。

この作品が、何よりも、みえさんの最愛の存在であるてらすくんにとって5年後、10年後に意味のあるものになっていることを心から願います。

11月のアムステルダムでのワールドプレミア上映以降、日本でもいろいろなかたちで上映の機会を探ると思うのでどこかでご覧いただければ幸いです。

プロジェクトの詳細は:https://medium.com/documentary-film-transition