栃木県消費生活リーダー連絡協議会主催の会員研修会

今年の夏、栃木県宇都宮市で開催された『移動する「家族」』の上映会で出会った栃木県消費生活リーダー連絡協議会会長の熊倉シゲ子さんからのお声がけで、11月8日(金)とちぎボランティアNPOセンターぽ・ぽ・らで開催された同会の研修会で講師を務めました。

テーマは、「商品が生まれて顧客の手元に届くまで -〈移動〉という視点で消費をとらえなおす」。メーカー勤務時代の体験と、研究生活の中で学んだ「移動の社会学」の考え方を接続させて、消費をとらえなおすための話をしました。参加された40名ぐらいの会員のみなさまは、全員、私にとって「人生の先輩」にあたる世代の方々でしたが、熱心に耳を傾け、余談やささやかなジョークも拾ってくださり、楽しい時間でした。自分では思っていなかったような文脈で、研究についてお話しする時間をいただき、勉強になりました。

栃木のおいしいお米の弁当をいただき、帰路へ。新幹線の中で、今年に入ってからの新しい仕事のほとんどは、『移動する「家族」』の上映会で出会った方々からのお声がけやお誘いで実現しているなーとしみじみ振り返りました。

11月30日(土)京都女子大学の公開講座にて『移動する「家族」』上映会

京都女子大学の教授で家族社会学が専門の嘉本伊都子先生の企画で、私の研究作品である『移動する「家族」』の上映を含めた公開講座が開催されます。

日時 11月30日(土)13:30~17:00
場所 京都女子大学 図書館交流の床 1階ホール
詳細はこちら

嘉本先生とは、2018年7月21日に明治学院大学白金キャンパスで開催された、明治学院大学心理学部付属研究所特別研究プロジェクト「心理臨床センターにおけるグローバル化および内なる国際化に関する探索的研究」主催の『移動する「家族」』上映会がきっかけで出会いました。嘉本先生は上映会でコメンテーターとして研究についてコメントやアドバイスをしてくださいましたが、それ以来、色々とお世話になっています。
これまで全国46箇所で上映会を開催しましたが、京都は初めてなので楽しみです。

第 3 回 多文化ユースのためのアートワークショップ

2019年10月20日(日)に明治学院大学白金キャンパスにて開催された、「第 3 回 多文化ユースのためのアートワークショップ」に講師として参加しました。
詳細:第3回 多文化ユースためのアートワークショップ

私は運営スタッフの津田友理香さんと初田美紀子さんからのお声がけで、参加の機会をいただきました。お二人とは昨年、『移動する「家族」』の上映会で出会い、色々と共通する関心があることから交流が始まりました。

今回のワークショップは、参加者一人ひとりが、自分をとりまくさまざまな要素の関係の経路としての「ルーツ(routes)」を振り返り、表現し、それをみんなで共有して対話する機会にしたいという思いで企画しました。表現の方法として「コラージュ」を採用。コラージュは、ハサミで新聞、雑誌、チラシ、写真などから選んだ部分を切り取って、1枚の紙に貼り付けるという基本的な作業ができる人であれば、子どもから年配の方まで楽しめます。
当日は、コメンテーターの渋谷恵(明治学院大学心理学部 教授)先生や、アドバイザーの嘉本伊都子(京都女子大学 教授)先生、スタッフも含めて8人がワークショップに参加し、夢中になってコラージュに取り組んでいました。表現して終わり、ではなく、互いのコラージュを眺め、振り返って語り合う時間が、このワークショップで何より重要であったと考えています。

このワークショップの詳細については、今後参加者へのフォローアップをしたうえで、論文にまとめる予定です。

“Transition” has been selected for the IDFA Competition for Short Documentary

“Transition”, a documentary film co-directed by me and Daijiro Mizuno, has been selected for the IDFA Competition for Short Documentary of the 32nd edition of International Documentary Film Festival Amsterdam!
IDFA: https://www.idfa.nl/en/film/f8b0c22a-2ed7-4ab4-83f9-9857c83e9f3e/transition

水野大二郎先生との共同監督作品“Transition”が、国際ドキュメンタリー・フェスティバル・アムステルダム(IDFA)のコンペティション部門(ショートドキュメンタリー)に入選しました。11月にアムステルダムにて、同部門で選ばれた他の11作品とともにワールドプレミア上映されさらに審査されます。
IDFA: https://www.idfa.nl/en/film/f8b0c22a-2ed7-4ab4-83f9-9857c83e9f3e/transition

このプロジェクトは、昨年、私の博士研究が最終段階を迎えた頃に、副査として指導してくださっていた水野先生から提案いただいたことで始まりました。私は「移動」と「家族」をテーマに研究をしてきましたが、水野先生から、自分が今経験していることはまさに「移動」と「家族」をめぐるエクストリームなケースだから、新たな研究対象にしてみてはどうかというお話がありました。その時、水野先生が、妻みえさんの闘病を支えながら、当時1歳になったばかりのてらすくんの育児と、大学での仕事をなんとかして成り立たせるために奔走している状況を知りました。

自分自身が移動する、家族を移動させる、ものやメッセージなどを移動させる。困難な状況でもよりよく生きるために、みえさんの闘病が始まってからの2年間、多様な「移動(モビリティーズ)」を組み合わせる試行錯誤をしながら生き抜いてきたプロセスを、水野先生は自分のiPhoneでほぼ毎日記録し続けました。私は後半の1年間、毎週のペースで水野先生にインタビューを行い、そこでその週の日記とiPhoneで撮影された写真や動画を見せてもらい、水野先生の「生活世界」を理解することを試みました。“Transition”は、2年間の記録を、この1年間のインタビューによる理解にもとづいて編集して制作した作品です。私にとってこのドキュメンタリーは4作目ですが、自分が撮影した写真や動画をほとんど使わないで制作するのは初めてのことですし、「語り」がない作品も初めてです。調査者として自らを調査し続けた水野先生による記録が、この作品を成り立たせています。
制作の最終段階では、 加藤文俊先生にアドバイザーとして参加していただきました。加藤先生のもとで研究するようになってからずっと‘social bonding(社会的なつながり)’について考えてきましたが、その基盤は‘being part of each other’s life transitions’なのではないかと、このプロジェクトを通してあらためて実感しています。水野先生、加藤先生と、このあと、2年間の記録と向き合いながら、論文も書く予定です。

この作品が、何よりも、みえさんの最愛の存在であるてらすくんにとって5年後、10年後に意味のあるものになっていることを心から願います。

11月のアムステルダムでのワールドプレミア上映以降、日本でもいろいろなかたちで上映の機会を探ると思うのでどこかでご覧いただければ幸いです。

プロジェクトの詳細は:https://medium.com/documentary-film-transition

はじまり

2018年9月に慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科にて博士号を取得後、10月より1年間、同研究科の助教(有期・研究奨励)として博士研究のフォローアップを中心に取り組んできました。その内容は、論文「映像エスノグラフィー研究における作品の行く末―『移動する「家族」』の上映実践を事例に―」にまとめました。この論文は、日本生活学会の論文誌『生活学論叢』Vol.35に掲載されます。2019年9月末に助教(有期・研究奨励)の契約期間が満了したこともあり、今後は博士研究のフォローアップから新しい研究へと軸足を移します。このウェブサイトは、博士研究後に新たに取り組み始めた仕事のプロセスや成果を記録するために開設しました。