【冊子】大橋ゼミ Visual Essays Vol.05

今年度も、大橋ゼミの2,3年生のメンバー一人ひとりが企画し実施した調査研究「マイプロジェクト」の成果を、ビジュアル・エッセイ集『Visual Essays Vol.05』として冊子にしました。
冊子をオンラインで公開する予定はないですが、目次をご覧いただくと、ゼミのメンバーがどんな個人研究をしてきたか、少しご確認いただけるかと思います。

2年生のビジュアル・エッセイ集

3年生のビジュアル・エッセイ集

【映像】台湾出張記録

校務で台湾に出張しました。
2泊3日の短い滞在でしたが、協定校の静宜大学のみなさんが歓待してくださり、新たな協働の可能性について色々お話できて今後が楽しみになりました。
昨年から大学院で初の主査として指導を担当している修士学生が、台湾からの留学生で、台湾で私の論文を読み込んでくれていたという嬉しいご縁もあり、これから台湾のことをもっと知りたくなった旅でした。

【書籍】パブリック・ヒストリーの実践:オルタナティブで多声的な歴史を紡ぐ(慶應義塾大学東アジア研究所叢書)

分担執筆で参加した書籍『パブリック・ヒストリーの実践:オルタナティブで多声的な歴史を紡ぐ』(慶應義塾大学出版会)が、刊行されました。

私は、共同研究者のJaz(アムステルダム応用科学大学Civic Interaction Design)と、東日本大震災の津波の被害を経験したゆみこさん(仮名)とともに取り組んできた映像制作のプロジェクトをふりかえり、「語りにくさの構造」について書きました。
・大橋香奈「第6章 何のためなら災禍をめぐる経験を語れるのか?──映像制作を通して共に考える」
昨年まで2年半の間に、ゆみこさんに10回のインタビューと実家のあるX町での4回のフィールドワークにご協力いただき、共に考えて、「語りにくさの構造」を乗り越える方向性を見出すことができました。ご家族にもたくさんお話を聞かせていただきました。
私がこの書籍に参加して考えをまとめることができたのは、編著者の笠井賢紀先生(慶應大)のおかげです。笠井先生が、企画から研究会の開催、研究費の管理、分担執筆者たちの多岐にわたる研究を(それぞれ個性ある研究者たちに連絡して調整しながら)一つの書籍に束ねていくための、大小様々な仕事をしてくださっていました。私なんか想像するだけでクラクラしてしまうことを、自分の研究も進めながらやりとげてしまう笠井先生、感服です。ありがとうございました。
この章で書いたプロジェクトから学んだことを、新たにワークショップとして展開していく企画を、Jazと島影さん(公立はこだて未来大学)と考えていますが、これについてはまた今度。

【レクチャー】東京藝術大学公開授業「アート・リサーチ演習」のゲスト講師担当

有楽町のYAU STUDIOにて東京藝術大学の公開授業「アート・リサーチ演習」第3回「映像」のゲスト講師を務めました。フランスの社会学者ジョルジュ・ペレックの著作『さまざまな空間』から着想を得て「場所の記憶」をテーマに、コラージュフィルムを制作するワークショップを企画、実施しました。
授業時間3時間の中で、レクチャー、フィールドワーク、映像制作、上映までを含めたワークショップを展開するという、やや無謀で実験的なチャレンジでした。どうなるか心配でしたが、現役の藝大生と社会人受講者のみなさん、この講座を担当する島影さんとスタッフのみなさんのおかげで、ちょっと時間オーバーしつつですが、上映までフィニッシュ。最後の上映と一言発表の数分間で、お一人おひとりの「場所の記憶」を通して有楽町というまちと出会う、有楽町というまちを通してお一人おひとりの「場所の記憶」と出会う時間を過ごすことができて、大興奮でした。
このワークショップを実施するのは今回が初めてだったので、設計がまだ荒削りな感じでしたが、今後論文化して整理してみたいと思っています。
島影さん、貴重な機会をありがとうございました!
写真は、受講者の皆さんが映像制作に没入中の様子。スマホでもできちゃうシンプル編集です。

【冊子】大橋ゼミ『美瑛町の「おいしい」をつくる人びと』

この夏、大橋ゼミ3年生の有志が北海道美瑛町で取り組んだ研究の成果、冊子『美瑛町の「おいしい」をつくる人びと』が完成しました。
この企画は、2024年度東京経済大学「美瑛町との交流企画」に応募し採択されたものです。
本企画では、美瑛町の「食文化」に注目し、さまざまな立場や方法で、「食文化」を生み出している方々の仕事を観察し、「生の声」をうかがって記録しました。
企画を実現するために、美瑛町文化スポーツ課にご協力いただき、農家の方、加工食品をつくっている方、家庭料理を支えてきた方、飲食店の方など、8箇所9名の方に取材許可をいただきました。
学生たちの思いに動かされて、美瑛町のみなさんと出会い、すばらしい経験、勉強の機会をいただきました。美瑛町のみなさんに感謝いたします。
大学ニュースにも掲載されました→
https://www.tku.ac.jp/news/2024/2024-1031-011.html

【学会発表】日本メディア学会にて発表

日本メディア学会の2024年秋季大会(オンライン)で石田佐恵子先生(大阪公立大学 )企画のワークショップ「映像の説明責任をめぐって」にて、問題提起者として発表しました。
企画者であり司会の石田先生、私と同じく問題提起者として発表された松本章伸先生のお話が勉強になったのはもちろんですが、ワークショップ形式だったので参加者のみなさんとのやりとりもあり、楽しくてあっという間でした。映像に関わる研究をしている者同士で共有している問題意識や、共感できることがいろいろあった一方、自分にはなかった視点や経験を教えていただきました。メディア学会での発表は初めてでしたが、ワークショップ形式、とても良かったです。

 

【国際会議】韓国の文化社会学会主催の国際会議にて発表

韓国の文化社会学会主催の国際会議(オンライン)にて、Various methods in visual researchがテーマのパネルに招待されて、「Ethnographic filmmaking and screening as an ethical and collaborative research method」というタイトルで発表しました。
質問をいただいたり、後から連絡いただいたりと、オンラインでしたが新たな出会いがあり刺激的でした。

 

【書籍】『ノーツ 第二号 引越し』にインタビュー記事掲載

建築コレクティブ「GROUP」が手がける書籍『ノーツ 第二号 引越し』に、インタビュー記事が掲載されました。ノート(note)という言葉には記録や注、覚え書きといった意味がありますが、『ノーツ』は、掲げられたテーマについてのインタビュー集とそれに対するたくさんの注釈が束ねられた本です。インタビューでは、私自身の引越しの経験や、そこから生まれた視点をどのように研究で展開しているかなどを語っています。取材を受けたのはコロナ禍真っ只中の時期だったので、もはや記憶が薄れていましたが、先日校正作業で注釈がつけられた原稿を読みながら振り返るのは楽しかったです。
オンラインショップで購入できるところが何箇所かあるようです。

 

【論文】国際論文誌に査読付き論文が掲載

Our research article was published in the journal “Social Media + Society”!
Kyounghwa Yonnie Kim, Kana Ohashi, and Larissa Hjorth (2024) Creating “Safe Places” in Social Media: Japanese Youth’s Tactics of Self-Presentation During the COVID-19 Pandemic. Social Media + Society, 10(2).
本研究では、コロナ禍において日本の若者が、デジタルな世界でどのように「安全な場所」をつくりあげたのか、その創造的な実践を探究しました。
共著者であるヨニさんとラリッサとは、2017年から共同研究を開始しましたが、途中でコロナ禍が始まったこともあり、方向転換、紆余曲折がありました。第一著者のヨニさんには最後まであきらめずにリードしていただき、感謝しています。

【研究ノート】『コミュニケーション科学』59 号に掲載

大学紀要『コミュニケーション科学』に、研究ノートが掲載されました。
・大橋香奈, 松永智子, 小山健太, 光岡寿郎(2024)「異文化体験」を視覚化する:海外研修プログラムにおけるコラージュワークショップのデザイン,『コミュニケーション科学』, 59 号, 東京経済大学コミュニ ケーション学会, pp.215-239.
オープンアクセスでPDFを以下のURLからダウンロードできます。
この研究ノートは、本学コミュニケーション学部国際コミュニケーション学科の海外研修プログラムの参加者が受講する「異文化理解A」という授業の一環で2023年8月に実施した、コラージュワークショップについてまとめたものです。
研究上の関心を共有しつつ専門の異なる同世代の同僚の先生方との授業実践&共同研究で、授業の準備段階から執筆までたのしく刺激的でした。ありがたい職場です。
1ヶ月ほど前に、この研究ノートでまとめた内容をもとに、今期の「異文化理解A」の授業実践を無事に終えて、自分たちでもこの内容に確かな手応えを感じたところです。

謝辞にも書きましたが、本研究へのデータ提供に協力してくれた履修者に感謝します。ワークショップではコラージュの素材として、本学図書館の廃棄予定の雑誌や新聞を利用しました。準備いただいた図書館職員の方々にも御礼申し上げます。また実施したコラージュワークショップは、大橋がファシリテーターを務めた2019年10月20日開催「第3回多文化ユースのためのアートワークショップ “My routes and our routes (私のルーツと私たちのルーツ)”」(主催:明治学院大学心理学部付属研究所特別研究プロジェクト「心理学部におけるグローバル化および内なる国際化に関する探索的研究」/共催:多文化ユースネットワーク)での企画内容を発展させたものです。関係者のみなさまにあらためて御礼申し上げます。